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「今日の天気とか。最近梅が咲いたとか・・・?」
「それって、老後の夫婦の会話みたい!」
泉が爆笑する。
そう言われても困ってしまう。
英実としては、そんな内容でも毎回必死の思いで書いているのだから。
「やっぱり変かな?」
泉が半分笑いながら、口を開く。
「うーん、英実らしいっちゃらしいけど。もっと甘い言葉とか書けばいいのに。」
「例えば?」
「今すぐ会いたいですー、とか。恋しいですー、とか?」
「・・・無理。だって結果が出るまで会わないって言っちゃったもん。」
「英実も本当に我慢強いよね。」
英実はがっくり肩を落とした。
そう、つい書いてしまったのだ。
『進路が決まったら会って下さい。』
あの一文を、英実は何度撤回したいと思ったことか。
下を向いている英実に、静香が追い討ちをかける。
「他の女性に奪われないことを祈っているわ。」
「・・・。」
「「だって肇さんって、絶対もてるもんねー。」」
2人がハモる。
「だから悩んでいるのに!!2人共!」
静香がストローをまわしながら、英実を見つめる。
「まあ、頑張って早く進路を決めちゃうことね。」
泉がケーキにフォークを指しながら、英実に笑いかける。
「奪われる前にね。」
2人の顔を交互に見つめながら、英実が改めて強く決心する。
「絶対に受かってやる・・・。」
小さなつぶやきに、2人が楽しそうに微笑んだ。
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