萌芽の頃

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「私・・・子供じゃないもん。」 「そうかあ?」 にやりと肇さんが笑う。 「じゃあ、逃げるなよ?」 「え?あっ・・・!」 唇に、柔らかな感触。 一瞬だけ触れて、すぐに離れる。 「えっ、えっ。ひどい。」 「なにが?」 「だって、初めてだったのに・・・。」 言っている内に、顔が真っ赤になる。 これだと、まるで拗ねているみたい。 「なるほど。じゃあ、もう一度。」 「あ、そういうことじゃなくって!」 「いいから、黙っとけ。」 肇さんの顔がゆっくり近付いてくる。 思わず目をつぶると、少し暖かい唇が触れる。 何度も、角度を変えてはキスされる。 最後に、下唇を挟む様に触れると、顔が離れる気配を感じた。 自分でも、顔が真っ赤になっているのが分かる。 顔だけじゃなくって、体中が熱い。 肇さんが私の目を覗き込む。 「言っとくけど、これ、超初級編だから。」 「へ?」 「まあ、ゆっくり教えてあげるよ。俺がどれだけ英実を想っているかってね。」 肇さんが不敵に笑う。
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