2年後

2/6
前へ
/188ページ
次へ
時計を見ると、もうお昼を過ぎそうだった。 小走りになりながら、カレッジの門に向かう。 そこに大きな声がかけられる。 「エミ!」 見ると、ジェーンとアビーが手を振っている。 「どうしたの?」 思わず足を止めると、2人が駆け寄ってきた。 ジェーンが自慢の髪をかき上げながら、英実に向かって笑う。 「ねえ、明日エミの誕生日でしょう?だから、10代最後のパーティーしない?」 「これからってこと?」 「もちろん!知り合いのクラブで、朝まで飲んで踊ろうよ。」 思わず苦笑する。 イギリスでは、若者同士でそういったお店に行くのは当たり前なんだけど、何となくまだ慣れない。 それに今日は・・・。 少しだけ罪悪感を感じながら、2人に向かって謝る。 「ごめんね。彼が日本から来ているのよ。」 「あら、そうなの。」 「うん。久しぶりだから、彼といたいの。」 ジェーンはがっかりした様だったけど、『まあ、仕方ないわね』と言って許してくれた。 「ごめん!もう行かなきゃ。またね!」 パタパタと英実が走り去る。 その後ろ姿を見ながら、アビーがジェーンにウィンクした。 「だからダメだって言ったでしょう?」 「ダメ元だったもの。そういえばエミの彼氏って年上の人だっけ。そんなおじさま、どこがいいのかなあ。」 「私もそう思っていたんだけど・・・。」 アビーが大きなため息を吐く。 「私、昨日見ちゃったのよねえ、エミの彼氏。すっごいゴージャスな人だった。」 「そうなの!?」 「あれじゃあ、イアンが振られるの分かるわ。日本人でもあんな男性いるのねえ。」 「えー、羨ましい。」
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1896人が本棚に入れています
本棚に追加