奴隷

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 事態は急を要していた。宇宙人を奴隷として扱う生活になれた人間にとって、宇宙人の喪失は重大な問題であるからだ。待遇を改善させてみたりして、何とか彼らを生き存えさせようとしてみたが、どんな手段をもってしても、減少を食い止めるには至らなかった。  それ以前に、人間はあまりにも奴隷に頼りすぎた。本来もっているはずの技術力や知識が殆ど喪失させてしまった。長年の堕落が招いた結果だった。これでは、宇宙人の二の舞だ。  人々は議論に議論を重ねて、残った奴隷を使って円盤を造らせた。そして、その円盤に乗って地球を脱出することにした。  どこかに自分達を救ってくれる星を求めて。  滅びつつある自分達。それを救ってくれるのなら、何でもする覚悟があった。それこそ、あの宇宙人のように奴隷として扱われたとしてもよかった。地球人として生き存えることができるのなばら、それだけで十分なのだから。
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