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そのように、誰かが一度でも何かを壊せば、後は単純だった。政府の施設では保護しきれなくなった宇宙人の一部が、裏社会に流出するようになり、かつての奴隷文化のようの売買されるようになる。何せ、相手は宇宙人だ。人間ではない。誰も胸を痛めることもなかったし、薬物なんかよりもずっと、健全的だという人もいる。
「ペットを購入するのと何が違うのですか?」
そう言って、平然と宇宙人を購入していく。
裏社会で流行りだした、奴隷文化が表社会にまで影響を及ぼすのに、時間は掛からなかった。
それこそ、ペットショップで動物が買われるのと同じ感覚で、宇宙人は売買された。
そして、現代に至る頃には、宇宙人を擁護する人間の方が珍しかった。それに、擁護しようにも、宇宙人をこき使っているのは同じ地球人である。だから、無理矢理でもやめされるということはできなかった。
人間の生活において、宇宙人の存在は欠かせないものとなっていた。危険な仕事は全て、宇宙人にやらせた。失敗して大勢の宇宙人が死ぬこともあったが、大した問題ではなかった。代わりの宇宙人は何人もいるのだから。動力源も根本から見直され、膨大なエネルギーを使うような機械は廃止されることとなった。どんなことも、奴隷である宇宙人がやってくれるのだから。裕福で平穏な生活が、未来永劫、続くのだと誰もが疑うこともなかった。
しかし、異変は突然やってきた。宇宙人の数が激減し始めたのだ。どういうことなのか、科学者や医者はこぞって調べてみたが、原因は分からなかった。あまりにも、死なせすぎたのではという意見もあったが、彼らの激減する前までの繁殖数は、死亡数とほど同等で減ることはなかったはずだ。
「これは、もしかしたら、種としての衰えではないか?」
誰かが、そんな言葉を口にした。
宇宙人という一つの種の衰えが始まった。それが、数の激減の原因ではないか。
確かに、仮説としては頷ける話であった。
けれど、仮説を立てたところで、根本的な問題は何一つ解決しない。こうして、考えている間にも宇宙人の数は確実に減り続けていたのだから。
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