第一章 桜花魔法学園

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季節は夏――七月の陽気が気持ちの良い季節となった。俺達はその原因となる日光を感じながら歩を進めていた。 「ハァ……ハァ……一体いつになったら到着するんだ?」 じんわりと滲み出てくる汗をカッターシャツで拭き取る。 周りの景色は変わらずに木々だった。同じような木々をもう15分は見ているはずだ。 桜花魔法学園一年 E クラスは今、遠足をしていた。ただの遠足ではない……任務である。 先生はモンスター討伐の任務があった。30人の生徒は先生の戦いの見学に行く。 見る事も立派な勉強という訳だ。 「もう少しで到着するからな、ジンク」 数少ない友達または先生からジンクと呼ばれている。本名はジンク=ロマノフだが家の名で呼ばれる事はまず無い。 先頭を歩いているのはミルキー山本先生だ。縄のように浮き上がった筋肉は生徒に安心感を与えた。 「もう少しって、どれくらい?」 「後、15分だ」 「それは少しとは言わないんじゃないか…… !? 」 太陽はまだ灼熱を感じさせない事が幸いだ。温かい木漏れ日を皮膚で感じながら歩を進めた。
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