540人が本棚に入れています
本棚に追加
季節は夏――七月の陽気が気持ちの良い季節となった。俺達はその原因となる日光を感じながら歩を進めていた。
「ハァ……ハァ……一体いつになったら到着するんだ?」
じんわりと滲み出てくる汗をカッターシャツで拭き取る。
周りの景色は変わらずに木々だった。同じような木々をもう15分は見ているはずだ。
桜花魔法学園一年 E クラスは今、遠足をしていた。ただの遠足ではない……任務である。
先生はモンスター討伐の任務があった。30人の生徒は先生の戦いの見学に行く。
見る事も立派な勉強という訳だ。
「もう少しで到着するからな、ジンク」
数少ない友達または先生からジンクと呼ばれている。本名はジンク=ロマノフだが家の名で呼ばれる事はまず無い。
先頭を歩いているのはミルキー山本先生だ。縄のように浮き上がった筋肉は生徒に安心感を与えた。
「もう少しって、どれくらい?」
「後、15分だ」
「それは少しとは言わないんじゃないか…… !? 」
太陽はまだ灼熱を感じさせない事が幸いだ。温かい木漏れ日を皮膚で感じながら歩を進めた。
最初のコメントを投稿しよう!