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深い森林を抜けた先に広がるのは草原――木が一本も生えていない空間が展開されている。
木々の葉に遮られていた太陽が顔を出す。草原の葉は日光に反射して輝き青々と茂っていた。
先生は足を進めるが生徒はこれ以上進んではいけないと思い、距離を作った。……風がなびく。
「――!」
前進する先生の前に立ち塞がる複数の獣が奥の洞窟から現れた。ゆっくりと先生を洞窟に近づけまいと並んだ。
「モンスターだ!」
「すっげぇ!俺初めて見た!あれは何て言うモンスターなんだ?」
「確かあれは……教科書に載ってたような気がするが思い出せない」
生徒が感嘆の声を上げる。狼型のフレイムイーターは奥にある洞窟の中を巣として生息しているようだ。
人間の敵であるモンスターは倒しても問題は無い。
「フレイムイーターは狼の一種。肉食で、人が水を飲まないと生きていけないように、彼らは炎を食べないと生きていけない」
「へぇ……ジンク、そんな事、良く知ってるなー!」
茶髪の男子生徒の一人に誉められたが、大した情報でも無い。俺は咄嗟に視線を反らしながら言った。
「別に大した事は無い。今日やっていた教科書の次のページに書いてあっただけだ……」
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