第一章 僕とオトンの秘密の関係

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 朝日が差し込むベッドルーム。  佐久間恵-さくまけい-(19)は、鳴り続ける目覚まし時計を乱暴に止めるとベッドの横で仁王立ちし深い溜息を吐いた。 自分はすでに着替えは済ませ、あとは目の前で布団に包まっている男を起こすだけなのだが、毎朝のことながら、これがとてつもなく体力を消耗する。 ……こんなことを以前にも考えたなと思いながら、恵は大きく深呼吸すると盛り上がっている布団に向かって大声を上げた。 「いつまで寝とんねんっ?! いい加減起きんかいっ!!」 「…………」 怒鳴られても少し身じろぐだけで、一向に起きる気配がないことに、恵は顔を引きつらせた。 (あぁ……デジャブウや……) そんなことを思いながらも以前とは違い、力づくで起こす以外の方法を、この1年間で身に付けた。
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