第一章 僕とオトンの秘密の関係

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 佑は手を伸ばし恵の猫っ毛の髪を梳く。 「髪伸びたな? だから余計に可愛く見えるんじゃないか?」  目を細めた佑を一瞥すると、恵は言いづらそうに言葉を口にした。 「そろそろ切りたい思うてるんやけど……」 「けど?」 聞き返してきた佑を上目遣いで見詰める。 「……切っても……ええ?」 「えっ? 俺に聞いてる?」 驚いたように目を丸くする佑に、恵は恥ずかしそうに俯いた。 「……他に誰おんねん」  わざわざ自分にお伺いを立てる恵に、佑は笑いながら問いかける。 「髪くらい自分でいつ切るか決めればいいのに。なんでわざわざ聞くんだ?」 「……やって……佑、僕の髪触るの好きやんか? 長いのもよう似合おうてるって喜んどるし……やから……」 「…………」 思わぬ恵の言葉に、佑は硬直する。  居たたまれなくなった恵は堪らず声を上げた。 「……なっ、なっんやねんなっ? 黙んなやっ!」 「……恵」 囁くように自分の名を呼ぶ佑に、恵はおずおずと視線を向ける。 「……なにぃ?」  佑は顔を思いっきり緩ませると、恵を抱き寄せ腰に両手を回し擦り寄った。 「お前可愛すぎやっ」 「ちょっとっ?」 「そんなんで悩んどったんかぁ~? なんて可愛いねんっ」  加減なしに抱きついてくる佑に、恵は困った顔をしながら声を上げる。 「引っ付くなやっ? ネクタイ結ばれへんやんっ」 「お前がアカンのやで~? 可愛いこと言うから」 「さっきから可愛い煩いねんっ。男なんやから、そんなん言われても嬉しゅうないわっ」
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