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憎まれ口を叩く恵を上目遣いで見詰めると、佑は笑みを浮かべる。
「邪魔なら切ったらええ」
「?」
不思議そうに自分を見下ろす恵に、佑は満面の笑みを浮かべて見せた。
「お前がどんな髪型でも、俺はお前にゾッコンや」
瞳を輝かせて平然と死語を口にする佑に恵は顔を引きつらせる。
「……そんなキラキラした目で、おやじ臭いこと言うなや。ギャップが激し過ぎる」
「お前だって俺がどんな髪型でも好きだろぉ?」
再び擦り寄ってきた佑の後頭部をまじまじと見詰めると恵はぼそりと呟いた。
「……ハゲへんかったらな」
「誰がハゲやっ?」
勢いよく顔を上げ訴えてくる佑の後頭部を、恵は覗き込む。
「いや……なんか将来的に、この辺がヤバいやろうなぁ~と……」
「ハゲたら好きやなくなるんかぁ? そんな薄情もんやったんかぁ? お前は~?」
頭を胸にグリグリと押し付けてながら甘えてくる佑に、恵は笑いながら抗議した。
「苦しいって~。離してや~。冗談やんけ~。ハゲても愛してるっちゅ~ねん」
「嘘つけや~。俺がハゲたら捨てる気やろぉ? 許さへんからなっ。一生離せへ~ん」
甘える佑の頭を撫でながら、恵はふと複雑な表情を浮かべた。
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