孤独の孤島

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「海があれば砂浜がある、砂浜があれば川もあるって考えたんだけどな……」 儚くも些細な希望は、新たな疑問を孕んだ現実によって打ち破られた 確かに海はあった しかし、そこには砂浜も無ければ岸壁も無かったのだ そこにあったのは無機質に存在するコンクリートの堤防だけだった 堤防から覗けば海があるが、何せ高さが相当あった。目算でも10M以上はある その上、およそ鮫くらいにしか思えない三角のヒレがいくつも悠然と存在しているのだ とても海に近付きたいとは思えない そして新たに浮上した疑問、それは今いるこの場所がおよそ船首のように堤防が尖っていることだ そこから来た道の方を振り返ると、まさに摩天楼かコンクリートの山を彷彿とさせる光景が映り、その両脇を堤防が船の縁よろしく縁取っていた .
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