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歩いていた足が止まった。
「……一途だね」
曖昧な笑みを浮かべユウは言った。
「初めて演奏を聴いた時から
楽しそうにピアノを弾いてる笑顔を見てから
弾けなくなってからも
それに立ち向かう姿も
取り戻した時も
1人で知らない土地で頑張ってる事も
結果出して、世界で認められている事も
全部
全部の事が
ユウを好きになる要因で
離れればなくなると思ってたのに
こうして顔見たら
声聞いたら
笑顔見たら
変わらず好きなんだなって自覚させられる」
俺を見つめるユウの瞳が一層大きくなった。
「……え」
「ずっと友達のポジションでいいって
日本に帰って来たら会う仲間の1人でいいって
思ってたけど、会えて嬉しいのに
駄目だな
会っちゃうと
もう隠して置けなくなってた」
視界を遮る様に顔を覆う。
「……哉太こそ、酔ってるの?」
ユウがこちらを伺っているのが想像できてしまう。
「酔ってるかもね
そうじゃなかったらこんな事言えなかったかも」
耳が熱いのはきっとお酒のせい。
「私ばっかり好きなのかと思ってた」
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