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ガチャ……
扉が開く。
中から出て来たのは五十歳位の恰幅の良い男性。
扉が開いた嬉しさと、せっかく仲良くなりかけてたのに離れなければならない寂しさとで、
「ありがとう…… 」
私は感謝の言葉を述べ、自然にハグをしていた。
彼は抱き締め返してくれた手で、ポンポンと軽く私の背中を叩き、
「早く行きなさい」
優しく言葉を掛けてくれる。
「はい」
私は彼から離れ、両手を差し出す。
握手を交わした時にはお互いの目が、
『機会があれば又いつか』
と語り合い、彼は背中を向けて静かに立ち去っていった。
私は名残惜しむ間もなく、開かれた扉の中へと駆け込んだ。
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