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「いやぁぁぁっっ!!!」
北の方から女性の叫び声が聞こえる。
「ん?どうしたんだろ」
梨果は首をかしげる。
女性の声が聞こえる方へと辿っていくと、そこにはいかにも※グロ注意※な風景が見えるのは、僕でもはっきりとわかった。
血がぶちまけ、救急車を影で呼ぶ人、倒れている人、ただただそれを見ている人。
どうやらこれはー・・・
「通・・・り魔・・・」
歩がつぶやく。
「ちょ・・・これやばいでしょ絶対・・・・」
「みんな、とりあえず移動しよう。」
健のお母さんが言う。
俺らは頷いて足早にその場から逃げ出そうとした。
「梨果、早く行くよ」
俺は梨果を呼ぶが、いつも天真爛漫な梨果はそこにはいない。
無表情でつっ立っている梨果は、いつもの梨果じゃない。
梨果の手を引いて、「早く」というが、梨果は一歩も動かない。
「梨果!!!」
俺は大声で言う。
すると梨果は逆方向・・・そう、通り魔がいる方向へと走り出した。
「ちょ!梨果!待てよ!そっちには通り魔がー・・・」
すると梨果は殺人犯の前で立ち止まった。
殺人犯はナイフを振り回していた手を止め、ニヤニヤしながら梨果を刺した。
俺は
「梨果ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
と大声で叫んだが、もうその声は梨果には聞こえなかっただろう。
もう遅かった。
梨果はアイツに・・・
殺人犯に殺されてしまった。
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