一章 「押すな、押すなよ、絶対押すなよ」

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空腹が続き小一時間。 部屋に近付く足音。 私は空腹で何も考えられず、ベッドの上で仰向けで寝ている。 ノックする音。 母かな?と思ったが違った。 「三年一組担任の田畑と申します・・・」 なんだ・・・担任か・・・・・・・・・担任!! やっと来たか・・・でも腹減った。あー動きたくない。 「開けてくれませんかー」 優しくドアを叩きながら言う。 「早く開けないとドアぶち壊しますよー」 は、そんなことできるわけないだろ。素手でか? 「さて、お母さんに質問です・・・僕が持っているものはなーんだ」 「ええーと、ハンマー・・・ですか?」 「正解!!」 え!?今なんて・・・・・・ハンマー?ちょっとどういうこと。 人の家にハンマーって。 「では・・・三つ数えるうちに出てきてください・・・・・・・・・いーち」 ドアに鈍い音が広がる。 「ちょっと先生!やめてください」 母が止めにかかる。 「だいじょーぶ!任せてください。にぃーい!!」 さっきより強く音が響く。 おいおい、これはまずいんじゃね。 「さーん!!」 「ちょっと待てー!」 私はドアを開けてしまった。 外はハンマーを振り下ろす田畑の姿。 当然彼の目の前いるのでハンマーが当たるギリギリのとこで止まった。 振った時の勢いで髪がなびく。 「あー、やっと出てきた・・・おじゃましまーす」 「えっあー」 問答無用で田畑が部屋に入ってきた。
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