涙のゴール

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ロングパスで俺の手にボールが渡った。 まさか二度とはやらないだろうと思った瞬間、俺はニヤリと笑い、弾丸のようなスピードでドリブルで突っ込んだ。 「タ ケ シ! タ ケ シ!」 「タ ケ シ!!タ ケ シ!!」 ゴ~~~ル!!! 終了のホイッスル。 やったね! 優勝だ! 監督は俺の心をわかっていてくれたんだ。 みんなのように、シュートを決めてみたい、俺の気持ちに気づいてくれていたんだ。 キーパーなのに、シュートの練習なんてしても役にはたたないなんて、言われても、言われても、練習を止めなかった俺の気持ちを知っていたのだ。 ありがとう。監督! 母さん! 約束通り 沖縄に連れて行ってやるよ! 涙で霞んだ俺の目に、大きく手を振る母さんの姿がハッキリと見えた。 母さんの顔は 涙でグチャグチャだった。 俺は高く右手を揚げた。      
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