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「あれ、由奈さんまで僕の敵なの?」
身内にまで非難され、部長は参ったなぁとぼやきながらぽりぽりと頭を掻いた。
「あ、ほらみんな、あれがつり橋だよ。あれさえ渡れば、すぐ村に着くからね」
そんな部長を気にする様子もなく、由奈さんはおもむろに前方を指差す。
ミスオカ研メンバーのほぼ全員が、その指につられるように視線をフロントガラスの先へと向けた。
「え? あれですか?」
橋を見た瞬間、真っ先に声を出したのは桜だった。
あからさまにしかめっ面になりながら、唸るように言葉を続ける。
「あれ絶対落ちるでしょ? 大丈夫って言うからコンクリートとか鉄筋想像したのに、あれ木とロープだけじゃん」
「心配しなくても落ちないって。あれでかなり丈夫なんだから」
桜の心配などどこ吹く風で、由奈さんはあっけらかんとそう告げる。
確かに、桜の言うように橋は木造だった。
幅はそれほど狭くない。
車がすれ違えるほどの広さはないが、一台だけなら余裕をもって渡れるだろう。
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