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そんな縁起でもないことを考えながら二人のやり取りを聞いていると、やがて橋の向こう側へ到着する。
それからしばらくはこれまでと似たような景色がしばらく続いた。
田舎だからと言ってしまえばそれまでだろうが、ここまで何もないとまともに人間が暮らしていける環境なのかと少しばかり疑問に思えてきてしまう。
「ねぇ、雄治」
橋を過ぎて五分ほど経過した頃に、桜がふと何かを思い出したように話しかけてきた。
「ん? 何だよ?」
「紗耶香(さやか)さんは最近何してるの?」
「さや姉? 相変わらずだけど、いきなりどうしたんだ?」
さや姉というのは、俺より五つ年上の従姉のことだ。
お互いの家が近くにあり、さや姉が高校を卒業するまでは頻繁に顔を合わせていた間柄だ。
それ故に、幼なじみである桜とも小さい頃からの顔見知りであり、子供の時はよく遊んでもらったりしていたのだが。
「いや、由奈さんって部長の従姉でしょ? 雄治と紗耶香さんみたいな関係だなって思ったから。たぶん、由奈さんと紗耶香さんって同じくらいの年齢だと思うのよね」
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