‡プロローグ‡

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      【1】 民家も何もない山道をただひたすら走りはじめて、既に一時間近くは経過しただろうか。 辺りは木々が鬱蒼と生い茂り、人のいそうな気配は一切ない。 五月二十日、木曜日。 普通なら学校に行かなければならない平日の午前。 そんな時間帯にも関わらず、高校生である自分たちミスオカ研メンバーが何故こんな辺鄙な山奥を車で移動しているのか。 事の発端はつい二十四時間前に遡る。 最近流行しはじめた感染性胃腸炎が校内で広まり、五日間の休校が決定したのが昨日の朝。 そして、そんな異例のサプライズに歓喜の声を上げ、ミスオカ研メンバー限定での旅行を部長が提案してきたのが同日の昼過ぎくらいだったか。 「実はミスオカ研にうってつけの、良い話があるんだよ」 いきなりメールでメンバーを呼び出した部長は、そんな言葉と共に今回の旅行計画を持ちかけてきた。 長野県の山間部に従姉が住んでいる村がある。 そこの村には昔から不思議な言い伝えみたいなものがあり、それをこの連休を利用して調べに行ってみよう。
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