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藤美荘のすぐ裏手は山があり、深い緑がこんもりと広がっている。
渡された荷物を肩にかけながら裏山を見上げていると、ふいに正面玄関の方から女性の声が聞こえてきた。
「おかえりなさい、由奈さん。その子たちがお客さんね?」
振り向くと、背の高い女性がこちらに歩いてくるところだった。
三十代後半くらいに見える。
健康的に引き締まった体躯に、後ろで一つに纏められた髪。
こちらを見て笑うその表情からは、人当たりの良さが滲み出ているように感じた。
「こんな若い子たちが泊まりに来るなんて初めて。何も無い所だけど、ゆっくりしていってね」
俺たちの側まで来て立ち止まると、その女性は丁寧な発音でそう言ってきた。
「どうも、今日から四日間お世話になります。僕はミスオカ研部長の野島 孝介と言います」
部長が代表するように口を開き、俺たちメンバーを紹介する。
「まぁ、それじゃあ貴方が由奈さんの従弟なのね。言われてみればどことなく似てるかも」
全員の紹介が済むと、女性は由奈さんと部長を見比べながらクスリと笑った。
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