第一章:隔離された村

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しかし、あくまでも努力はしていると感じるだけで、やはり宿泊施設として見た場合の違和感は拭えない。 「何か、旅館としては微妙だよな?」 由奈さんや碧さんに聞こえないよう、俺は小声で桜へ話しかけた。 「うん。何かセンスの悪い豪邸崩れみたい」 「……確かに」 悪気のない様子で言ってくる幼なじみに苦笑しながら、俺はずっと最後尾を歩いていた蓮田へ振り返る。 「蓮田はどう思う?」 問われて、微かに顎を上げる後輩。 「何がですか?」 「この旅館の第一印象とか」 「……特には」 チラッと目だけを周囲に這わせて、蓮田がそれだけを告げる。 「なるほど」 つまりは、興味無しということか。 無駄に広い玄関を上がり――因みに、下駄箱は学校で使用されていた物を再利用していた――、碧さんの案内で通路を進む。 おそらく偽物だろうが、壁には等間隔で様々な絵画が飾られている。 「あれ? これムンクの雄叫びじゃない?」 「雄叫びじゃなくて叫びだろ」 途中、一枚の絵画を指差して得意そうに言ってくる桜へ、呆れながら言葉を返しておく。
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