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こちらの胸中を察したのだろう、千賀子さんは通路の奥の方を指差して言葉を続ける。
「あちらに男性用と女性用の浴場がございます。これでも改装するべき部分はしっかり改装しているんですよ。客室の方も、元は教室だった部屋ではありますが、ちゃんと寝泊まりに不便ないようご準備してございます」
「へぇ……、学校に浴場作ったんだ」
感心と呆れの入り交じる呟きを、桜がこぼす。
「それじゃ、早速部屋の方に案内してあげよっか。一応、客室は一階と二階両方にあるけど、どうせなら二階の方が良いだろうと思ってそっちに用意しといたよ。あ、もちろん男女別ね。一緒が良いって言うんなら一部屋にすることもできるけど」
パンッと気合いを入れるように手を合わせて、流森さんは捲し立てるように喋りながら階段へ向かい歩き始めた。
「いえいえ、さすがに男女一緒はまずいので、別々にしてもらえるのは助かります」
愛想の良いにやけ顔を浮かべながら、部長がその後ろに並ぶ。
千賀子さんと碧さんはここから先の案内は流森さんに一任するつもりらしく、振り向いた俺に笑顔で手を挙げてみせるだけだった。
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