1章

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軽くあしらいながらも、頬が熱を持つのを感じた。 村崎宗太。淡雪の幼馴染だ。気持ち悪いくらい仲がいい。わざわざ同じ大学に通っているくらい。実は淡雪の隣の部屋に住んでいたりもする。ちょっと異常じゃないだろうか?  私だって同性の友人はいるけど、そこまでべったりじゃない。 「……入る? 散らかってるけど」 淡雪はまた首を傾げた。 「きっともうすぐ来るよ」 「うん、おじゃまします」 淡雪の後について、部屋に入ったら。 「え、マジで散らかってるし……」 部屋の中は、荒れ放題だった。狭いワンルームの部屋なのだが、フローリングの床の上に割れた食器が散らばっているし、タンスも本棚も倒れて、中身が散乱していた。 「暴れるからさ、びっくりしたよ。初めてだよ、こんなこと」 「みゆきちゃん?」 私は分厚い靴下を履いていた自分を内心で褒めながら、一番ましなベッドに腰掛けた。 「そうそう、みゆきちゃん」 淡雪は私の隣に腰を下ろし、まいったよ、どうしよう、などと甘ったれたことをのたまう。 「私は片付けないからね」 「頼んでないじゃないか」 「頼むつもりだったくせに」 「まあそうなんだけどさ。宗太にやってもらおう」 「村崎はあんたの家政婦か」 「近いよね」 楽しくもなさそうに、淡雪は笑った。それと同時に、玄関のチャイムが鳴った。
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