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軽くあしらいながらも、頬が熱を持つのを感じた。
村崎宗太。淡雪の幼馴染だ。気持ち悪いくらい仲がいい。わざわざ同じ大学に通っているくらい。実は淡雪の隣の部屋に住んでいたりもする。ちょっと異常じゃないだろうか?
私だって同性の友人はいるけど、そこまでべったりじゃない。
「……入る? 散らかってるけど」
淡雪はまた首を傾げた。
「きっともうすぐ来るよ」
「うん、おじゃまします」
淡雪の後について、部屋に入ったら。
「え、マジで散らかってるし……」
部屋の中は、荒れ放題だった。狭いワンルームの部屋なのだが、フローリングの床の上に割れた食器が散らばっているし、タンスも本棚も倒れて、中身が散乱していた。
「暴れるからさ、びっくりしたよ。初めてだよ、こんなこと」
「みゆきちゃん?」
私は分厚い靴下を履いていた自分を内心で褒めながら、一番ましなベッドに腰掛けた。
「そうそう、みゆきちゃん」
淡雪は私の隣に腰を下ろし、まいったよ、どうしよう、などと甘ったれたことをのたまう。
「私は片付けないからね」
「頼んでないじゃないか」
「頼むつもりだったくせに」
「まあそうなんだけどさ。宗太にやってもらおう」
「村崎はあんたの家政婦か」
「近いよね」
楽しくもなさそうに、淡雪は笑った。それと同時に、玄関のチャイムが鳴った。
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