1章

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「お、いいタイミング」 淡雪は立ち上がると、散乱する服を踏みつけ、食器は避けて玄関に向かった。 がちゃりとドアが開く音と、聞きなれた声。 「よお、淡雪」 「やあ、宗太。ゆうちゃんもいるよ」 「だろうと思った」 そんな、普通の会話の一瞬後。 「お、おい! なんだこの部屋っ。空き巣か!」 「違うよ、みゆきちゃんだよ」 「はあ? ……あ、優莉(ゆうり)、お疲れ」 部屋に入ってきた村崎は、私に向かって片手を上げた。私も片手をあげてみせる。 「お疲れ」 「優莉、足とか怪我してない?」 「私は大丈夫」 「僕は少し切ったよ」 「おまえはいいんだよ、自業自得だろ」 どうやら、村崎は何の説明もなしに、みゆきちゃんについて悟ったらしい。 「ひどいよ、宗太もゆうちゃんもさ。自業自得自業自得って。全然そんなことないのに」 「はいはい」 村崎は適当に聞き流すと、私の隣に腰掛けた。一瞬、心臓がどきりと跳ねる。私はさりげなく村崎から少しだけ離れて座り直した。 村崎は全く気がつく様子もなく、淡雪に向けて切り出した。
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