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「成瀬ちゃん、成瀬ちゃん……。今日もいないかなー」
今は社食。
相原君の会社生活三大ワクワクの一つ、同期の成瀬紗衣ちゃんを探すことに専心中だ。
あれから十日ほど経った。
戸川は一切の手がかりを見せず。
毎日毎日、小野寺と渡辺が食らい付いたスッポンのようにしつこく戸川を追及するも、逆ギレか完全無視だ。
小野寺唯は略奪しただけあって相手を把握してるようで、崎田さんに隠れて三角関係の現況を探ろうとしてるようだ。
君子、ナントカに近寄らず。
付き合いは広く浅くの賢い相原君は、あの二人に深く関わりたくないから、独自に相手探しを続けている。
でも、唯一の手がかりは社食なんだけど、戸川は別にキョロキョロ誰かを探す訳でもなし、無反応。
まあ今はそれは置いといて。
「成瀬ちゃん、成瀬ちゃん……」
「相原うるさい」
節をつけて歌いながら探してたら、戸川が不機嫌そうに唸った。
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