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海事は部署間で忙しい時間帯が違うから、同じ部署の人間と昼休憩するのが常だ。
今まで行動を共にしたことなんてなかった戸川と一緒の部署になって十日。
社食で例の悶着の相手探しをするも、ようやく微かな反応があったのは成瀬ちゃんだけ。
でも、まさか清純派の成瀬ちゃんが戸川のフェロモンの餌食なんて、そんなことは有り得ない。
実は戸川、女嫌いのフリしてるけど、成瀬ちゃんがタイプとか?
とりあえずつついてみる。
「成瀬ちゃん彼氏いるのかなー」
「……」
「意外に俺とかタイプかも。話しかけてみよっかなー」
「やめとけ」
微妙に反応。
なら、これはどうだ。
「……あっ!あいつ、成瀬ちゃんに間接チューしたぞ!」
“間接チュー”に反応して、戸川が成瀬ちゃんをチラ見した。
動きはほんの一瞬。
見てないフリで、何気に成瀬ちゃんがどこに着席したか把握しているらしい。
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