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「戸川が、ねぇ……」
「なに?」
成瀬ちゃんの姿が消えて、ようやく戸川が振り向いた。
うーん。
冷たさの中に隠しきれない熱が混じる、色気ある表情に男の俺も唸る。
前言改め、相原君よりほんの少しイケメンかもしれないってことは認めてあげよう。
でも、この口が成瀬ちゃんとキスしたのかと思うと、懲らしめにグイと引っ張りたくなる。
ましてお泊りとか、地味にショックだ。
フェロモン戸川と清純派成瀬ちゃん、想像できないんだけど。
つか具体的に想像すると、相原君死んでしまうかもしれない。
まあ、いいや。
どう転んでも相原君にお鉢が回ってくる訳でもない。
知らん顔だ。
基本、何事も傍観主義なのだ。
成瀬ちゃんさえ笑っていれば、相原君は別に誰の味方でもない。
戸川にくっついてれば成瀬ちゃんの視界にも入れるし(背景として)、ひそかに観察させて頂こう。
……そもそも最初の観察テーマはフェロモンの奥義だったような。
相原君の戸川っち観察日記①終
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