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「なーなー、片桐主任の態度見たか?あれって成瀬ちゃん狙ってんじゃないの?」
戸川っちはさらに不機嫌顔になって大きなため息をついた。
「早く食えよ」
「だって色々見たり考えたりするのに忙しいんだよ、俺も」
態度を崩さない奴の導火線に火を点けてみたりとか。
頭の中で付け足してたら、戸川っちが呆れたように立ち上がった。
「お先」
「あっ、ちょっと待っ」
……置いていかれた。
ラーメンセットのチャーハンの残りをボソボソ掻き込みながら、戸川っちの背中を見送る。
戸川っちのキリリとした姿はひときわ人目をひいてて、すれ違う女子が何人も振り返っている。
中身は不器用なくせに得な奴だ。
相原君だって見てくれ的には互角じゃないかと思っ……
「相原センパイ」
「ふぐっ」
一人取り残された俺の前に、意外すぎる人物が腰かけた。
渡辺由里ちゃんだ。
大概のことにはびっくりしない相原君だけど、渡辺由里ちゃんから「センパイ」付けで名前を呼ばれたことは記憶にないから、びっくりして飯が喉に詰まりかけた。
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