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「いつも戸川先輩に引っ付いてるじゃないですか。何か聞いてますよね?」
つかまえたネギを口に放り込んでしゃぶりながら、丼の向こう側でカチカチいってる武器みたいな爪を指さした。
「その爪、髪洗う時痛そー」
由里ちゃんは一瞬俺を睨み付けた後、黙って立ち上がった。
「もういいです。お邪魔しました!」
それから、これまた武器みたいなヒールを鳴らして行ってしまった。
「げきたーい」
こんなことしてるから相原君の評判が落ちるんだよね。
でも、いいや。
なんか怖いしあの子。
そうか、こういうこと。
戸川が成瀬ちゃんと目を合わさない理由。
常に見張られてるからだ。
あの子やら、いろんな女子に。
それで成瀬ちゃんがイジメられるからだ。
……ということは、やっぱり付き合ってるってことか。
いいなぁいいなぁ、戸川っち。
俺なんか、成瀬ちゃんと喋ったことすらないよ。
でも、大変だなと思う。
誰もが見とれる完璧王子の出現に、虎視眈々と綻びを狙う女子達。
戸川っち、守りきることが出来るだろうか。
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