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フェロモン。
蜜のように女を吸い寄せる、掴みどころのないそれ。
触れずしてベッドを妄想させる、媚薬のようなそれ。
己を知る賢い俺はすぐに諦めた。
相原君のフィールドではないと。
しかし、そのフェロモンの奥義を探る、絶好の機会がやってきた。
二年間留学で不在だった戸川が帰国して、相原君のいる欧州部に来ることになったから。
よし。この機会に、靴底のガムのように奴にへばりついて観察してやるべし。
とは言っても、沈着冷静な戸川の観察なんてつまらなそうだけど。
と思いきや、戸川は着任初日から、面白いものを見せてくれた。
意外な相手とのバトルだ。
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