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直ぐにネットを立ち上げて、既に表面上出来上がっている飛鳥山高校のサイトに入り、管理者パスワードを打ち込んで編集用のプログラムを起動。
開いた瞬間に一目で気付いたが、作業を初めて僅か一日足らずの筈が、ある程度、PRすべきところはまとまっていた。
「大体はできてんのか」
「でもこんな殺風景なサイトじゃ宣伝になんないわよ。飾りはアンタに任せるよ」
言いながらも、カタカタと音を鳴らしているかと思えば、突然添付ファイル付きのメールが届いた。
「なんだこの画像とスタンプの山」
送り主は当然アヤネ。
「素材。学校近辺の風景や記念品、生き物の写真を加工しといた。新聞部の知り合いに貰ったんだけど」
「知り合いね……」
もしかして脅しでもしたりしてないだろうか?と、ちょっとした予想を立ててみるや否や、そんな心中を察知したのか、アヤネの容赦のない睨みが直撃している。
あの目は的確にアヤネに対して悪いことを考えているところを突いて来る。心が見透かされているのが本当に気味が悪いし、気に入らない。
だが、やっていることはまぁ評価できるな。気が利いている。
コイツは俺ほどじゃないが、パソコンに詳しく、タイピングもかなり早い。
理解が深いので、傍から僕のパソコンの中を覗き見ているカゲにはできない作業もやってのける。
因みに、そんな腕を見込まれて、ブラック西川にこの依頼を受けたのもコイツだ。
腕は認める。だが本当に気に入らない。
「とりあえずはやってやろう。……しかし、なんでこんなモノを僕達に作らせるんだ?こんなの先生とか生徒会の仕事じゃないか」
アヤネから受け取った素材に目を通しながら、僕は現状を愚痴る。
パソコン同好会は正式な部ではない、よって部費は出ない。それでもこんな面倒事を押し付けられるなんて。
「でも。西川先生が持ってきた資料。生徒会が中心に集めたんだって」
「生徒会役員にパソコンに精通してる人間なんて何人いるか……教師も然りね」
「ド田舎万歳……」
田舎ってだけでここまで深刻な事態になるとは。
と言うか、今までまともに学校のサイトが無かったことも、普通じゃあり得ない。
「それに、地道にやってれば、いずれ部に昇格するかもしんないし」
「僕はンなことどうでもいい」
二年生から始めた活動に、そこまで求めたりはしないのである。
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