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だがまぁ、普段している活動と言えば、各々好きなサイトを巡ったり、パソコンを使ってとっとと課題を終わらせたりする程度。
そんな日常の中で、偶にはこんな作業も案外悪くないかもしれない。
「にしても、凄い量だなこれ。集めた奴は相当マジメな奴だな」
「まぁね」
「提供元の方だ」
パソコンに目を向けたままアヤネの勘違い発言に的確なツッコミを入れると、鋭い視線が側頭部にぐさりと刺さるのを感じる。これは恐ろしい。
そんなアヤネにはあまり関わりたくないので、そのままマウスを走らせた。
サイトの管理ページを最小化し、別のプログラムを立ち上げ、そこで画像に更に手を加えていく。
数秒で編集を終え、更に別にプログラムを立て、そこから管理サイトの方に手を加えていくと……。
「ちょいちょいっと」
文字通り、サイトのメインページに日が射した。
夏の日差しに照らされる校舎が白く反射している姿の上に、学校の説明が浮かぶ。
更に、各リンクをクリックするごとに、対応した教室の扉が開くエフェクトや、内容ごとに特徴を生かした動く画像を張り付けていく。
完成した時には、至る所が動き出す鮮やかなPRサイトの出来上がり。所要時間は十五分と言ったところか。
「流石なおくん」
「早い……」
「時間取れたら天気予報と連動して雨なんか降らしてみたいんだが。今はこれで良いでしょ」
興奮を隠さないカゲ、更にはアヤネまでもが、パソコン越しに目を見開いているのを見て、思わず胸を張った。
やったことと言えば、時間さえあれば誰だってできる範疇の事だが、僕の技術の片鱗は見せられたはずだ。
「ふぅん、天才ハカーを自称するだけはあるんだ」
「ハカーじゃない、本物のハッカーだ!」
それでもこいつは癪に障る言動をやめない!
「はかー?」
「狂言ってこと」
「本物の天才ハッカーだッ!」
ハカーと言うのはネットスラングで存在しないハッカーを指摘するような言葉だ。
例えばネット上、顔が見えない相手に対し「俺ハッカーだからお前らの個人情報を奪うなんて簡単だぞ!(嘘)」に「はいはい天才ハカー乙!」と言う風に使う。
しかし、この場合ハッカーとは大抵クラッカーの事を指すのが問題だ。
「わざわざ犯罪者自称するなよ中二病」
「犯罪者と一緒にするな!」
どうやら、こいつとは話を付ける必要がある用だ。
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