俊也の嫁入り

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先生が絢子さんのお腹に機械のような物を当てながら側にあるモニターを見ていた。 俺も同じようにそれに目をやると、モゾモゾ動くものが写っていた。 わぁ!これがリアルベビたんずかぁ! そして先生は、お腹の上の機械をグリグリ動かしながら、ここが頭で、これは背中で…と説明してくれた。 「この、よく動いてるところが心臓ですよ。心音もよく聞こえてるでしょう。順調ですね!」 先生が教えてくれた心臓は、凄く小さかったけど、さっきから聞こえてくるドッドッドという音と同じで、力強く動いていた。 それを見ていたら、全身がブワッと粟立った。 ほんとにお腹の中で生きてるんだと感じたからだ。 絢子さんの大きくなるお腹を日々目にしていたら、ベビたんずが育っているのは理解していたけど、それでも俺はベビたんずをまだ《生きてる》と認識はしてなかった。 物凄く漠然とした感覚で、『生まれる為に育っている』と認識していただけだった。 だから、まだ膨らみ始めたばかりの狭いお腹の中でちゃんと生きてる事に、ただただ…、凄い!と感動した。 .
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