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「ったく…。あんたって奴は、何でもかんでも泣きすぎよ!」
絢子さんは、さっきから同じような事をぶつくさ言いながら、昼飯のざる蕎麦を食べている。
あまりにも同じ事を繰り返すから、ボケてんじゃないの!?と突っ込んでやりたいくらいだけど、そんな事をしたら、自分がどうなるかわかったもんじゃない!
感極まって涙が出たってだけで、別に悪い事をした訳じゃないけど、怒らせてるのは確かだから、とりあえずさっきから謝りっ放しだ。
そんな感じだから、病院を出てから「ごめんなさい」か「すいません」しか喋ってない気がする。
「すいません」
「それしか言えないの!?
先生が『出産に立会って泣くご主人はよくいるけど、検診で泣いた人は初めてだ』って笑ってたわよ」
「…なら、出産まで涙はとっておきます!
僕、立ち会う気満々なんで!」
「駄目よ!あんたは立ち会えないから」
そ、そんなぁ!意地悪!
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