プロローグ

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「甘そうだね。ソレ。」 あいつは、あの時、そう言った。 私は、無邪気に、 「どうぞ。」 と、食べていたバースデーケーキの残りを、 あいつに、差し出した。 私の、最も古い記憶。のはずのワンシーン。 もっとも、本当に、自分の記憶かどうかは、怪しいけど… 5冊目のアルバムの、一番最初のページ。 めくる度に、ママから、聞かされていたから、 自分の記憶として、定着しただけかも。 そのアルバムを、何度も開いていたのは、ママ。 が、今日は、自分の意志で、そのアルバムを開いて、 ため息をついていたのは私。 「はぁー。この写真の裏で、そんな話してたなんて、 聞いてないわよー!」
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