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「おい、嬉しいねぇ。蓮くんが、ようやく、呼んでくれたよ。」
「あら、いいわねぇ。蓮くん、私のことは?」
「志津絵さんは、若いから、ばぁちゃん。なんて呼べない。」
「あら、こんな大きな孫が、いるっていうのが、自慢なのよ?
呼んでちょうだいな。」
「あー。わかった。じゃぁ、ばぁちゃん、俺、帰るから、後、よろしく。」
「ええ。もちろん。」
「あっ、俺のことも、呼び捨てでいいですよ。」
「そう?じゃ、蓮。がんばってね。」
「蓮。明日は、昨日の代休、取っていいぞ。」
私を抱き上げたまま、交わされた会話。
ちょっとだけ、心臓の音が、おさまってきた気がする。
じっと見ていた、あいつの、顔が、赤い。
あっ、もしかして、私、重い?
力入れなきゃ、持ち上がらないから?
だから、顔、赤くなった?
「あの、下ろして?」
「ヤダね。」
スタスタと、なにごともなかったように歩き出した、あいつ。
その足取りは、重いもの運んでいる感じじゃ、なかった。
じゃぁ、さっきの赤い顔は、なんで?
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