ダブルベット

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咄嗟に、両手で、口を、押さえようとしたら、 あいつに、繋がれた方の手には、 あいつの手が、ついてきた。 あいつの、手の甲に、私の唇。 「ククッ。」 あいつの、笑い声。 なんか、ムカついたから、 手の甲、噛んでやった。 「イテッ。」 離れたあいつの手に、私の歯形が、くっきり。 フン。 乙女の独り言、盗み聞きの罪は、重いんだから。 なんて、声になってたことに、気がつかない私も、悪いんだけど… 「そんなに、お腹空いてる? まぁ、さっきなにも食べてないもんな。」 そう言われて、なぜか、身体が、反応… 「グリュリュリュリュー。」 すっごく大きな、お腹の音… ちっとも、乙女らしくない音。が、タクシー内に響き渡った。
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