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「大島さんなら、今、二階のナースステーションにいますよ。」
お父さんに連れてきてもらった、大島さんの勤める佐賀県有田市の産婦人科病院。
陶器の町だからなのか、
病棟がとてもお洒落な感じ。
「小林くん、佳苗ちゃん どうしたの?」
ナースステーションから出てきた、制服の大島さんは、身体の細さが際立って
女の私から見ても抱き締めたくなるほど。
「昨夜、ありがとうございました」
助けてもらったのに、ちゃんと御礼が言えてなかった。
「わざわざ、こんなところまで、よかったのに……病院行った?」
「はい。むち打ちみたいになっちゃって、暫く通院です」
「本当は、平沼に補償させなきゃいけないのにね」
お父さんは、少し離れた、新生児室の赤ちゃんをガラス越しに見つめていた。
やっぱり、赤ちゃんって、見てるだけで幸せな気持ちにさせてくれる神聖なもの。
どうして、成長すると、
心に闇を持ってしまうものなのか。
「大島さんは、中学の時からお父さんの事好きだったんですか?」
タイムスリップできるなら、
あの写真の頃のお父さん達に
会ってみたい。
「本当の恋を教えてくれたのは、小林くんだったよ」
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