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「……そうなんですか?、
それと、あの、平沼の事をホントに好きだったんですか?」
やっぱりやっぱり、
平沼は自意識過剰の勘違い野郎だったに違いない。
大島さんは、赤ちゃんを見つめるお父さんに視線を移して、
そして、恥ずかしそうに笑った。
「確かに、……地味な私は、プレイや活動を誉められて、顧問の平沼のこと好きだと思っていた時があるのよ」
「え″ーっ」
大島さん、見る目がなかったんだ!
とは、言えないから、顔で残念さをアピール。
「そう、まともに恋を知らなかった私は、小林くんと仲良くなってから、
本当に初めて、同い年の男の子の事を好きだと思うようになったの」
「………………さすが、お父さんだなぁ」
昔の写真、かわいかったもんなぁ。
格好はダサかったけど。
でも、
お父さんは、杏さんと付き合ってたはずだから、片想いだったのかぁ。
「報われない恋って、辛くなかったですか?」
仕事中の大島さんに、こんな昔話をさせて、
そう、
今日の目的は、恋ばなをしに訪れたんじゃない。
「小林くんを諦めさせてくれる人が現れたから、今ではいい思い出だよ」
………………それが、
あの、亡くなった祐紀さんなんだ……
大島さんは、ナースステーションのコールが鳴っている事に気づいて、
「じゃ、また、ゆっくりね」
と、
そちらへ向かい出す。
「あ!待って!」
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