青の階段

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「お父さんと一緒になってあげてください」 私の言った意味 わかってくれたのかな? それに対して返事はしないまま、 ただ、少しだけ微笑んで 大島さんは仕事場に戻っていった。 「佳苗……」 お父さんは、 「まるで お前の助言がなきゃ結婚してもらえない可哀想な男みたいじゃんか、俺」 と、照れたように笑って、 「気がすんだら、とりあえず長崎に戻るぞ」 私の頭を軽く 撫でるように叩いて、 病院をあとにした。 「お父さん、大島さんと何にも話さなかったね」 小さな町を走るお父さんの車は、 最近、ハイブリット車になった。 「帰れば、家で話せるからさ」 昔みたいに、やんちゃな車にはのらなくても良くなったのかな? 「お父さん、おばあちゃんのところに向かってる?」 「おう、寮にはこっちの住まいが見つかった時点で、退館手続きしといてやるから」 お父さんと、大島さんが地元で始める新生活、 「わたし、 卒業までは、寮で生活するよ」 居心地が悪いと思うからじゃなく、 「は?なんで? 遠慮することないんだぞ?お前が居たって、俺ら気にせずにイチャつくし」 「そうじゃないよ」 高校に合格して、 親元から離れて生活することも含めて、 私は、成長したかったのは事実だから。 「ファザコンから、卒業したいの」 「お前、そこまでファザコンじゃねぇだろ?」 「そうかもしれないけど……それに、 お父さん、一緒に住んでたら、口うるさそうだから、 ″ バカもーん !!″ って」 「俺、波平じゃねぇし」 「だから、大丈夫」 「…………急に寂しくなってきた」 お母さんの新しい恋人にも会わなければならない私。 そう、 お父さんたちの恋愛を見守ってそれで終われない、忙しい子供なんだ。 私は、 お父さんもお母さんも 同じ位 大切だから。
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