954人が本棚に入れています
本棚に追加
/715ページ
「お前には、俺がいるじゃん」
まだ、
キスしかしたことない彼女だけど、
今まで付き合ってきた女の子達とは違う気高さ さえある佳苗。
青翔が見ていなければ、抱き締めてキスしたいと思うほど
その白い背中が、艶かで愛しい。
「………………広人くんは、
早死にしないでね」
「………え?」
ドキッとさせる言葉が聞こえて、
泣いているかと思ったのに、
階段下から、俺を見上げた佳苗は、
………
笑ってた。
「ひろとにいちゃん、ここ、お絵描きいっぱいだよ!」
なんだか、急に胸がギュッとなったところへ、青翔が、
屋上に手前の踊り場の壁の落書きを指差している。
20年近く前の、
落書きだった。
俺は、
その愛しい、名前達の前で
動けなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!