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「すげー………な」
″ naoya & yumi love forever ″
父さんと母さん達の彫られた名前の上に、
祐紀おじさんと、
昔の彼女の 相合い傘の落書きがあった。
「………広人くん?どうしたの?」
それは、
白い壁に、まるで生きていた証を遺すように、
屋上からの光を浴びて、
はっきり、
くっきりと、影を残す。
早馬さんは、
この学校の取り壊しを最後まで反対していた。
「広人ー?なにしてんの?」
旧家庭科室から出てきた、母さんと彩音さんも、階段の方へ寄ってきた。
俺は、
スーツにつけていたブローチの針で、
カリカリカリカリ………と、
新しい落書きを彫り加えた。
彩音さんは、また潤んだ目を擦りながら
抱っこしていた赤ちゃんに、壁の落書きを触らせる。
「また、伝説のカップル誕生?」
″ そうま & あこ ″
″ ひろと & かなえ″
「広人、せめてローマ字で書きなよ?バカ丸出しだよ?」
そんな風に、俺の頭をゴツく母さんも、
また、
泣いていた。
「お前ら、こんなとこで何やってるんだよ?
会場は視聴覚室だぞ」
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