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「行こうか」
小林くんは、白い手袋を外して
私の手をとる。
「バージンロード廊下ってオツじゃね?、亜子の父さん、さっき緊張してたもんな」
祐紀さんが亡くなってから、
シカバネのようになった直後の私を支えてくれたのは、
友達でもなく、
小林くんでもなく、
それは、
人を一過程や外見で差別する、
軽蔑していたこともあった、
両親だった。
その、お父さんの姿が、渡り廊下に見えて、
それが、
とても、小さくて………
「………だめだ、
もう、泣けてきた」
今日という日の、特別な意味を
改めて身に感じて、
崩れてしまいそうだ。
「亜子、お前が俺を変えてくれたから
今の俺があるんだよ」
そんな私を、
昔より大きくなった手で、支えてくれた。
小林くん
六年前、
ここに来たとき泣いてたね。
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