白雪香澄

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「ね、蓮IDカード交換しようよ!記念に」 名案!といわんばかりの香澄は ざわめく人声に負けない程の声でそう言って俺の服を掴む。 「なんの記念だよ」 「もう!いいでしょ、 今日で使わなくなったんだし ね?」 俺を見上げるその視線に、 いつも香澄には甘いと思いながらも結局言うコトを聞いてしまう。 俺は鞄からIDカードを出して「ホラ」 と渡した。 香澄も同じように取り出して俺に握らせ、 満足そうに俺を見上げたまま笑う。 おもむろにソレ と自分のIDカードを指差した香澄は 「私がいなくて寂しいときは、これを握りしめて寝てね」 と冗談交じりに言った。 俺は手の中の薄いIDカードを一瞥すると 「…無理だろ これじゃなんも出来ないし」 とイジワルそうに目を細めて返した。
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