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「もー…例えでしょ!
…いくらお互い東京に出るっていっても、きっと今よりは会えなくなるし…」
言いながら少しだけ語尾が小さくなる香澄に
俺は『白雪香澄』と書かれたIDカードを鞄にしまいながら言葉を続けた。
「そうだな。 けど香澄が入る寮の近くには住むよ。
この間決めてきた」
俺のIDカードを握りしめ、
俯きかけていた香澄は目を開いて思い切り顔を上げた。
「え? 何で言ってくれなかったの?」
(-――その顔…)
驚きで見開いた目が、だんだんと滲んでいく。
俺は一歩香澄に近づき、
ポン と頭に手を乗せて笑った。
「――サプライズ?しようと思って」
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