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――どれくらいそうしていただろうか
ヒュー と言いつつ横目で冷やかすヤツや
「またね」と言って通り過ぎていく友人がいなくなった頃、俺は少し体を離して小さく呼びかけた。
「香澄」
「…ん?」
「この後なんかある?」
「……あるよ」
「…なに?」
「んー…家に帰ってもう一度泣く 」
そう言って
少し離した頭をまた俺に預ける香澄に、フッと鼻から息が抜ける。
「ソレ用事じゃないし
……決定。 今から二人で卒業祝いしよ」
一瞬動きが止まった香澄は俺のすぐ下から顔を上げ、
「……えー、何するの?」 と、涙の後をこすりながら俺に訊ねた。
「そーだなー…
今から飲みにでも行くか」
「えっ? 今まだ1時半だよ?」
自分の時計と俺に交互に見ながら
目でダメだよ と俺を制する香澄に、
「今日は特別だからいーんだよ」と、俺は後ろ髪を撫でながら笑った。
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