白雪香澄

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…うー…と唸りながら隣の俺と目の前の空いたグラスに視線を往復させる。 何度目かで目が合った時、 ニッコリ笑って大きく頷く俺に、香澄も小さく頷き、 「スイマセン コレ、おかわり下さい」と空のグラスを前に差し出した。 「いーぞー」 目の前に置かれた新しい酒に口をつけながら、香澄はしばらく何かを考えてるようだった。 ちびりちびりと甘い酒を飲む香澄を頬杖をついてなんとなしに眺める。 新しい酒が半分ぐらいになった所で おもむろに香澄はポツリと口を開いた。 「ねー蓮、  私が働くとこと蓮が働くとこは全然違うけど…  社会人って、どんなんかな」 (――…香澄? ) 頬杖をついていた手を外して、俺も汗をかき始めたビールを一口飲む。 そのビールグラスを傾けながら俺も口を開いた。 「さー、なってみないと分かんないけど、  きっといろいろあるだろうなぁ」 少し眉尻を下げて俺を見る香澄の表情は、 これからの目に見えない先に対するものだろう。 俺は息を吐き出してゆっくりと言葉を繋いだ。 「 でも俺は香澄のそばにいるよ 」
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