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コトン と俺がグラスをテーブルに置いた音が、店内の音楽と重なる。
「だから家も近くにした …同じ駅だし」
まっすぐ香澄の目を見て話す俺に、その瞳がどんどんと潤んでいくのをただ見つめていた。
「うー…蓮…」
はぁ とわざと大きく息を吐き出しながら香澄の肩を寄せる。
「また泣くー…」
「蓮のせいじゃん」
「蓮がそんなの言うから」と言いながらも
涙がこぼれないように上を向き、そのまま視線だけ横に移して俺を見る。
「でも蓮……
モテるんだから、浮気 しないでよね」
(――その顔でそれ言う?)
「香澄こそ、ふらふらしないでよ」
そこで俺たちは顔を膨らませて
じっとお互いを見るとまたどちらともなくフッと笑った。
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