白雪香澄

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「あ、雨降ってるよー」 現在時刻は18時29分 眉間に少し皺を寄せた香澄は肩を竦めて遠くを見る。 店を出るといつから降っていたのか街全体がひどく濡れていた。 アーケード沿いに駅まで行けなくもないが、どっちみち途中で走る羽目になるし、 飲んでる俺たちには到底無理だろう。 風が舞って、細かな雨が冷たく俺たちに纏わりつく。 「傘、買おう」 「んー…」 明らかに雨がイヤ と顔に書いた香澄は、渋々コンビニに向かおうとする。 そんな香澄の手を引き 俺はこっちと引っ張った。 「 ? なんで?」 「ビニール傘も、もう卒業しよ。  社会人になるんだし、いい傘買っとこう」 そのまま香澄の手を引いてアーケードの端にある百貨店に入った。 入ってすぐの傘売り場に立ち、すぐ後ろの香澄に振り返る。
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