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「ホラ 好きなの選んで
――コレが俺からの卒業祝い」
一瞬足が止まった香澄は、目を丸くして
「えー…でもそれなら蓮もじゃん…」
「――いいから
その代りずっと使えよ?
壊れても、修理して使って 」
でも壊すなよ? と冗談交じりにそう言って
もう一度ホラ と促す俺に
「――…わかった」
眉尻を少し下げて微笑んだ香澄は、俺の横を通り過ぎ傘を選び始める。
何本か手に取った所で、俺に振り向きながら
「――これにする」
その手にはブルーの傘を握りしめていた。
「ソレがいいの?」
「――うん
きっと雨の日にこの青い傘さしたら、
少しは気持ちが晴れそうな気がするから 」
(――なんだそれ)
もっともらしい様な、そうでないような香澄らしい考えに、自然と笑ってしまった。
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